アナ雪2にステマ疑惑が起こったのは、記憶に新しいところです。
ステマを実行したのは複数名の漫画家だったので、その意外性も話題になりました。
というのも、これまでステマは芸能人やモデルなど知名度がある人がするというイメージが強かったからです。
ステマは、悪い言い方をすれば、人気や賑わいを偽装しすることで人を錯覚させて集客する手段なので、発覚したらそれを計画した側と実行した側、共にとても印象が悪くなるという、非常にハイリスクな手段です。
それは過去、ステマ行為によってあっという間に信頼やその立場をなくした芸能人をみれば明らかでしょう。
アナ雪2は2019年11月22に日米同時公開早々に、観客動員数や興行収入は前作を上回ったのはニュースでも報じられたほど。
なので、人気獲得のためのステマではなかったという事はわかります。
どうしてアナ雪2のような人気作品でそれをしたのか。
なぜ漫画家だったのか?
疑問点も多く不自然なアナ雪2のステマ騒動をもう一度振り返るべく、ステマを行った漫画家感想や広告代理店との経緯を調べてみました。
目次
アナ雪2ステマ疑惑とは
アナ雪2ステマ疑惑は、2019年12月3日に、7人の漫画家が同じタイミングで、Twitterを使って映画の感想漫画を投稿したことがきっかけで起こりました。
2019年11月22日の映画公開後から2週間足らずのうちの出来事です。
7人が同じタイミングで、同じ映画の感想漫画を、同じハッシュタグ(「#アナ雪2と未知の旅へ」)をつけてtwitterにアップしたのですから不自然極まりありません。
近年のtwitterの拡散威力は爆発的ですから、すぐにたくさんの指摘が殺到。
該当漫画家が責められたり、誰の依頼によるステマなのかなど、世間は騒然としました。
ステマって何?
ステマ=ステルスマーケティングとは「消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をすること(Wikipedhiaより引用)」です。
わかりやすく言えば、人気のないものやまだ知名度のないものを、さも人気があるように装い、影響力のある人がSNSなどのメディアを使って一気に話題を広める宣伝方法です。
大抵の場合は、ステマの実行者は依頼元から報酬が支払われます。
報酬をもらっているので、良くない点があったとしても良い!良い!と大絶賛します。
これがステマです。
漫画家が宣伝依頼された理由とは?
ウォルト・ディズニーはこの件で出した公式謝罪文で
「本企画は、クリエイター7名のみなさまに映画『アナと雪の女王2』をご覧いただき、ご感想を自由に表現いただいた漫画をTwitterに投稿いただく企画として実施したものです。」
と記しています。
れっきとしたディズニー公式の企画であったということを公言しているのですが、個人的には、なんだか後出し感が強くてあまり良い印象ではありませんでした。
対象の漫画家は誰?
対象の漫画家は以下の7人の方です。(敬称略)
- 小雨大豆
- 大和なでしこ
- 山本アヒル
- 道雪葵
- お肉おいしい
- ただまひろ
- しおひがり
私は漫画に疎くてどなたの名前も知らなかったのですが、万単位のフォロワーさんを持つ方もいて、人気の高い漫画家さんたちなのだと知りました。
報酬は払われたの?
「広告代理店からの依頼」だと複数漫画家が公言しています。
ということは、無償ではなく金銭の報酬があったのだろうと私は思っているのですが「試写会に招待された」というのが報酬にあたり、それで漫画を描いたという事になっているようです。
関係者によると、今回のマーケティング活動には電通が関与。その一環で、クリエーターらがツイッター上で広告と明示せずに「アナと雪の女王2」を称賛する漫画を投稿し、報酬を得ていた。
と記されていました。
ステマ騒動の問題点は?
騒動問題点はそれぞれ関わっている人や会社によって違います。
ディズニーは謝罪文で
・関係者間でのコミュニケーションに行き届かない部分があった
・マーケティング活動における社内指針関する周知および遵守の不徹底が招いた結果
と明記しています。
漫画家達は、それぞれ表現は違うものの
・確認不足
・認識不足
としています。
代理店は
・・・何も言っていません。
ですが、漫画家さんたちの発言により、語らずとも問題点はしっかり浮き彫りになりました。
この件での関係者全員の共通問題点は「確認不足」と「認識不足」のようです。
ディズニーの対応
ウォルト・ディズニージャパンは、12/5と12/11の2回も公式謝罪文を発表しました。
漫画達が非難の集中砲火に遭っていたし、誰の指示で?どういう意図で?という事が見えていなかったので、ディズニーが謝罪文を出すことが一番の鎮火方法だったのでしょう。
謝罪文の要点をかいつまむと
- 感想漫画はディズニーの企画だった
- クリエイター(漫画家)に責任はない
- 依頼の段階で伝達ミスがあり、広告表示(PR表記)がなされなかった
- 意図して起きたものではない
→ステマのようになってしまったがステマではない
という釈明でした。
ところが「意図して起きたものではない」と言った後、漫画家が意図的だったと明らかにました。
これもコミュニケーション不足なのでは…。
アナ雪2ステマ疑惑での漫画家感想や広告代理店との経緯
釈明が全く信用できません。
漫画家さんは試写会に呼ばれたそうですが、投稿された漫画は全てそのことを隠しています。
当初からPRであることを明記する予定なら、試写会のことを隠す必要はありませんよね?
貴社や広告代理店からステマの指示があったと考えるほかないのでは?#アナ雪2 pic.twitter.com/JFdjfp7NhJ
— 愛染清隆 (@aizenkiyotaka) December 8, 2019
アナ雪2ステマ疑惑は、アナ雪2がとても話題作であること、天下のディズニー作品であることで、より大きな騒動になったと感じています。
この件で、一番最初に表立って標的になったのは意外にもネット上での活躍が多い7人の漫画家でした。
問題となった感想漫画はTwitterに投稿されたため、各個人にいろいろな意見が殺到しました。
アナ雪2ステマ疑惑での漫画家感想や広告代理店との経緯を掘り下げてみました。
漫画家の感想漫画を紹介
漫画家の感想漫画ツイートは以下のとおりです。
全く同じハッシュタグ、投稿日時なのがわかります。
小雨大豆 さん
PR表記抜けてました!すみませんでしたー!
アナ雪2はほんとハマったので
上げ直しで残念ですが…
よかった…ほんとよかったんだよ!#PR#アナ雪2と未知の旅へ#アナと雪の女王2 pic.twitter.com/j4B4lruKt9— 小雨大豆@コミティア出ます!【な22b】 (@kosamedaizu) December 4, 2019
道雪葵 さん
アナ雪2のエルサが可愛いすぎるとアレンデール国民の私が熱く語っているだけの漫画。
(※エルサが可愛いというネタバレがあるので注意)#アナ雪2と未知の旅へ#アナと雪の女王2 pic.twitter.com/UXXiHivXZ0— 道雪 葵 (@michiyukiaporo) December 3, 2019
大和なでしこ さん
アナ雪2を観て来ましたー!!!
とにかくオラフが可愛かった(❁´ω`❁)#アナ雪2と未知の旅へ#アナと雪の女王2 pic.twitter.com/am1Gc1ETYl— 大和なでしこ 鬼嫁1巻発売中 (@nadeshiko0328) December 3, 2019
山本アヒル さん
アナ雪2は安定の姉妹愛でしたね。#アナ雪2と未知の旅へ#アナと雪の女王2 pic.twitter.com/YkaNm1mDFz
— 山本アヒル (@AHIRU_7) December 3, 2019
お肉おいしい さん
個人的なアナ雪2の見所は、アナにデレデレなクリストフ!!#アナ雪2と未知の旅へ#アナと雪の女王2 pic.twitter.com/qZTfnXlht8
— お肉おいしい@6/7本発売 (@029_umai) December 3, 2019
ただまひろ さん
『アナと雪の女王2を観に行った話』
映画館で観ると音楽の迫力がすごいよ!
個人的にはみんなの(特にエルサの)ハンスの扱いが笑えた#アナ雪2と未知の旅へ#アナと雪の女王2 pic.twitter.com/PQ9uZR3W3p— ただまひろ (@mappy_pipipi) December 3, 2019
しおひがりさん
1観てないけど2観たらめちゃくちゃおもしろかった… #アナ雪2と未知の旅へ #アナと雪の女王2 pic.twitter.com/r9qqZvvF2h
— しおひがり (@shiohigari114) December 3, 2019
この翌日の12/4、上記全員ではありませんが
「PRタグを付け忘れていた」
「実はPRだったんだけど書き忘れてた」
等、謝罪とも告白ともとれるツイートをしています。
それも「なんか依頼主から言われたの?」と勘ぐりたくなるような似た内容、タイミングでした。
もうこうなると疑いだしたらきりがなく、どのようにでも考えられますし、SNSが発達している現代では「発言の自由」の元、かなり言いたい放題状態になってしまっています。
広告代理店は電通って本当?
ディズニーは「複数の広告代理店にこの企画を依頼した」と謝罪文で書いていました。
「この騒動による波紋が広がり続けているのは、マーケティング施策であることを示す表記がなかったことに加え、広告代理店として関与していた電通の担当者が表記不要と説明していたことがある。」
と記事にしていることから、1社は確実に電通と判明しています。
また、該当の漫画家である小雨大豆さんは、依頼者側がPR表記をしないようにと指示してきたと、ネット上で証言しています。
電通といえば知らない人がいないくらい有名な大企業で、広告業界では力も影響力も大きな会社です。
私は、電通がそんな事をしたんだ?という思いと、力のある会社だしやってもおかしくないかも…という思いを両方抱きました。
同記事より、代理店と漫画家の間を仲介していた「wwwaap(ワープ)」というキャスティング業者の関わりがあったことも明らかになっています。
広告代理店と漫画家との経緯
依頼主側から作家達が同じ時間、同じタグを使用するのでPR表記は必要ないと説明がありましたので、その指示に従いマンガをツイートしました。
内容的にも宣伝マンガと分かってもらえるはずとの本当に甘い思い込みで、PRと付けずにツイートし、後日指摘があってからPRと後付けしてしまいました。
(4/7)— 大和なでしこ 鬼嫁1巻発売中 (@nadeshiko0328) December 11, 2019
上記ツイートで大和なでしこさんは、依頼主より
「作家達が同じ時間、同じタグを使用するのでPR表記は必要ないと説明がありました」
と発言しています。
広告代理店から映画鑑賞の招待を受けた漫画家さん達は、指示に従って感想漫画を書いてツイートしただけ。
そういわれればそのとおりです。
ですが、依頼された仕事の特殊性やそれに対する認識不足も勿論騒動の原因の一つで、その点についての反省と謝罪をされている漫画家さんもいます。
一方、肝心な依頼主である広告代理店は何も発表がないままです。
ですが漫画家さんたちの発言を寄せ集めてみると、どうやら広告代理店に大きな責任があるのは間違いなさそうです。
togetterのまとめが漫画家謝罪のきっかけに
togetter(トゥギャッター)とは、Twitterのツイートを集めて公開できる「Twitterまとめ」のことです。
Twitterでテマ疑惑関連のツイートが激増したため、わたとかさんという方によって関連ツイートをまとめたTogetterが、作成されました。
これがきっかけとなったのか、このTogetterに該当漫画家さんが謝罪コメントを投稿し始めましたようです。
まとめ
アナ雪2ステマ疑惑は、もし、依頼された漫画家のTweet時間がバラバラで、ハッシュタグもそれぞれ違っていたら誰も気が付かなかったかもしれませんね。
漫画家の感想は、もちろん「アナ雪2良かった!面白かった!」とプラス要素しか描いていなかったし、それを見て映画館に足を運んだというファンの人もいたようです。
それだけに、事の真相が明らかになった時、ファンの方は擁護派が多かったものの、中には「がっかりした」「フォローやめます」という声も見えました。
ネット上で活躍している漫画家さんの影響力ってすごいです。
ステマは一般的に印象が悪い行為ですから、まさかディズニーのそれも大作であるアナ雪2でそんな疑惑が起こるとは、誰も想像していなかったと思います。
それも騒動が大きくなった一因でしょう。
ディズニーが、日をおいて2度謝罪文を出すという異例の対応をとったのは、事態の深刻さを証明していると感じました。
ステマ疑惑はなんとなくヒートダウンして今に至りますが、なんだか端切れの悪い終わり方をした事案という印象です。